「眠っている赤ちゃんがちゃんと息をしているか、何度も確かめてしまう…」
「うつぶせになっていたら、すぐ戻したほうがいいの?」
夜中に何度も赤ちゃんの胸の動きを見にいく——その不安は、赤ちゃんを大切に思っているからこそ。うちもそうでした。SIDS(乳幼児突然死症候群)という言葉に触れると、胸がぎゅっとなりますよね。完璧にできなくて大丈夫です。今日からできる「ちょっとした整え方」を、一緒に確認していきましょう。
結論: SIDSの予防方法はまだ確立されていませんが、こども家庭庁は「①あおむけ寝(1歳まで)②無理のない範囲で母乳育児③たばこをやめる」の3つで発症率が下がることがわかっていると呼びかけています。あわせて、硬めで平坦な寝具にし、赤ちゃんのまわりに物を置かないことで窒息リスクも減らせます。赤ちゃんの様子がいつもと違う・呼吸がおかしいときは、ためらわず119番。判断に迷うときは#8000やかかりつけ医へ相談を。
【最重要】こんなときはすぐ受診・救急へ
赤ちゃんの様子を見ていて、次のようなサインがあるときは、ためらわず行動してください。
・顔色が悪い・唇や顔が青白い/紫色、呼吸が止まっている・苦しそうなど緊急性が疑われるとき → すぐに119番(救急)に通報
・ぐったりしている・反応が鈍い・なかなか起きないなど、いつもと違う気になる症状があるとき → 自己判断せず医療機関を受診
・判断に迷う体調変化や育児の不安があるとき → こども医療電話相談 #8000(全国共通)や、かかりつけ医・保健センターに相談
迷ったときは「相談してよかった」が正解です。ひとりで抱え込まないでくださいね。
SIDS(乳幼児突然死症候群)ってどんな病気?
SIDS(乳幼児突然死症候群)は、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る、原因のわからない病気です。こども家庭庁によると、SIDSは窒息などの事故とは異なるもので、令和6年には55名の乳児がSIDSで亡くなり、乳児期の死亡原因の第3位となっています。
数字を見るとこわく感じますが、原因不明だからこそ「親の不注意のせい」ではありません。わかっているのは、いくつかの工夫で発症率を下げられるということ。次の3つのポイントを知っておくことが、いちばんの安心につながります。
こども家庭庁が呼びかける3つのポイント
予防方法そのものは確立されていません。以下は「これをすれば必ず防げる」というものではなく、発症率・発生率が低くなることが研究でわかっているリスクを下げる工夫です。
① あおむけで寝かせる(1歳になるまで)
1歳になるまでは、寝かせるときはあおむけに。あおむけに寝かせたほうが発症率が低いことが研究でわかっています。「あおむけだと吐いたものでむせない?」と心配になりますが、うつぶせや横向きを安全策としておすすめはできません。あおむけはSIDSの発症率が低く(こども家庭庁)、うつぶせは窒息のリスクがある(消費者庁)ため、あおむけが基本です。
② 無理のない範囲で母乳育児
母乳で育てられている赤ちゃんのほうが、SIDSの発生率が低いことが研究でわかっています。ただし、これは「ミルクだとダメ」という意味では決してありません。母乳が出ない・混合など、ご家庭それぞれの事情があります。無理のない範囲でが大前提。授乳のことで悩むときは、産科や小児科などの病院や保健センターの授乳支援に頼ってくださいね。
③ たばこをやめる(周囲の喫煙も)
乳幼児の周囲で誰かがたばこを吸うことは、SIDSの発生率を高くすることがわかっています。赤ちゃん本人だけでなく、パパや同居の家族の喫煙・受動喫煙も要因に。妊娠中・産後の禁煙は、赤ちゃんを守る大きな一歩です。
安全な睡眠環境の整え方(寝具編)
3つのポイントとあわせて、寝る環境そのものを整えると窒息のリスクも減らせます。
・硬めで平坦な寝具を使う — 身体が沈まない硬めで平坦な布団やマットレスを。柔らかいクッションや傾斜のあるマットレスは避けましょう。ふかふかした柔らかい敷き布団・マットレス・枕は、うつぶせになったときに顔が埋まり、鼻や口がふさがれて窒息するリスクがあります。
・1歳までは掛け布団を使わない — 1歳になるまでは掛け布団は使わず、スリーパーなどの着るものや空調で寒さを調整すると安心です。
・まわりに物を置かない — ぬいぐるみ・タオル・枕・衣服・よだれかけ・紐などは、顔を覆ったり首に巻き付いたりして窒息につながります。赤ちゃんの顔の近くには置かず、寝床はシンプルに。
月齢や住環境によって配慮が必要な場面もあります。寝具選びに迷うときは、健診や保健センターで相談してみてください。
就寝時の窒息事故を防ぐ(寝室・添い寝編)
消費者庁によると、0歳児の不慮の事故死のうち窒息が占める割合が高く、特に就寝時の窒息死事故が多数起きています。平成22〜26年(2010〜2014年)の5年間では、0歳児の就寝時の窒息死事故が160件(不慮の事故死全体502件の32%)確認されました。状況が判明している中で最も多いのは「顔がマットレスなどに埋まる」33件、次いで「掛け布団等の寝具が顔を覆う・首に巻き付く」17件、「ベッドと壁の隙間などに挟まれる」13件です。
具体的にできることは次の通りです。
・できるだけベビーベッドを使う — 顔が沈み込まない固めで平らな敷き布団・マットレスのものを選びます。前述のとおり1歳までは掛け布団や枕は使わず、寝床にはぬいぐるみ・タオルなどを置かずシンプルに。購入時は安全基準適合の証であるPSCマークの表示を確認しましょう。
・隙間をなくす — ベッドと壁の隙間、ベビーベッドの柵とマットレス・敷き布団の隙間など、頭や顔が挟まる隙間をなくします。
・添い寝での圧迫に注意 — 添い寝をしたまま寝込んでしまい、保護者の身体の一部で赤ちゃんを圧迫しないように気をつけて。
・寝返り後も油断しない — あおむけで寝かせても、赤ちゃんは寝返りをします。うつぶせは窒息のリスクがあるため、寝かせた後も周囲の注意は続けましょう。
よくある質問
Q. あおむけだと、吐いたもので窒息しないか心配です。
あおむけはSIDSの発症率が低く(こども家庭庁)、うつぶせは窒息のリスクがある(消費者庁)とされています。心配で横向きやうつぶせにするのは、かえってリスクを高めるためおすすめできません。気になる点はかかりつけ医や健診で相談してみてください。
Q. 母乳が思うように出ません。SIDSのリスクが上がってしまいますか?
公式の呼びかけは「無理のない範囲で母乳育児を」です。母乳が出ない・混合でも、自分を責めないでくださいね。あおむけ寝や禁煙、安全な寝具など、できることはほかにもたくさんあります。授乳の悩みは病院や保健センターの授乳支援へ。
Q. 寝返りでうつぶせになっていたら、毎回戻すべき?
寝返りができるようになると、夜の間にうつぶせになることもあります。気づいたときに戻すのは安心ですが、ずっと見張り続けるのは現実的ではありません。だからこそ、まわりに物を置かない・硬めの寝具にするなど「環境を整える」ことが大切です。
Q. 添い寝はしてはいけませんか?
添い寝そのものを禁止する内容ではありませんが、寝込んで赤ちゃんを身体で圧迫してしまう事故が起きています。眠ってしまいそうなときは、できるだけベビーベッドを使うなど、圧迫や隙間への配慮を。
Q. SIDSは予防できますか?
残念ながら確実な予防方法は確立されていません。3つのポイントや安全な寝具は「発症率・発生率を下げる」工夫です。完璧を目指さず、できることから整えていきましょう。
まとめ
・SIDSは予兆も既往歴もないまま起こる原因不明の病気で、窒息などの事故とは異なる(令和6年は55名、乳児死亡原因の第3位)
・こども家庭庁の3つのポイントは①あおむけ寝(1歳まで)②無理のない範囲で母乳育児③禁煙
・これらは「必ず防げる」ではなく、発症率・発生率が下がるリスク低減の工夫
・寝具は硬めで平坦に。柔らかいクッション・傾斜マットレスは避ける
・1歳までは掛け布団を使わず、スリーパーや空調で寒さ調整を
・赤ちゃんのまわりにぬいぐるみ・タオル・枕・紐などを置かない(窒息予防)
・ベビーベッド活用・隙間をなくす・添い寝での圧迫注意で就寝時の窒息事故を防ぐ
・呼吸がおかしい・顔色が悪いときは119番、迷うときは#8000やかかりつけ医へ
赤ちゃんの「いつもと違う」に気づけるのは、毎日見ているあなただからこそ。睡眠や体調で気になったことは、BabyStepの発達・体調メモに残しておくと、健診や受診のときに伝えやすくなりますよ。
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出典・参考文献
・こども家庭庁「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」
・消費者庁「0歳児の就寝時の窒息死事故に注意しましょう」
監修: 小児科医 | 最終更新: 2026年6月
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。お子さま・ご自身の体調に不安がある場合は、かかりつけの医療機関にご相談ください。


