「ただの鼻風邪だと思っていたら、夜になって急にゼーゼーと苦しそうな呼吸になって…」
「うちもまだ生後3ヶ月。RSウイルスって0歳は重くなるって聞くと、こわくて」
そんな声をよく耳にします。RSウイルスは、2歳までにほとんどの子が一度はかかるとてもありふれた呼吸器のウイルスです。多くは軽い風邪のような症状で済みますが、低月齢の赤ちゃんでは重くなることもあり、不安になりますよね。大切なのは「どんなサインが出たら受診するか」をあらかじめ知っておくこと。完璧に見分けようとしなくて大丈夫。この記事が、その目安になればうれしいです。
結論: RSウイルスは2歳までにほぼ100%の子がかかるありふれた感染症ですが、生後6ヶ月以内の初回感染では細気管支炎・肺炎へ重症化しやすい点に注意が必要です。「咳がひどくなる」「ゼーゼーする」「肋骨や首のくぼみがへこむ呼吸(陥没呼吸)」「ミルク・母乳・水分が飲めない」が見られたら受診を。顔色や唇が青白い・ぐったり・息を止める(無呼吸)があれば救急受診を検討してください。判断に迷うときは こども医療電話相談 #8000 も使えます。
【最重要】すぐ受診したい危険サイン
次のようなサインが見られたら、早めに医療機関を受診してください。
・呼吸が苦しそう・ゼーゼー(喘鳴)する、呼吸が速い
・陥没呼吸(息を吸うときに肋骨の間や首のくぼみ、みぞおちがへこむ)
・ミルク・母乳・水分が飲めない、食事がとれない(おしっこが減るのも脱水のサインのひとつとされます)
・咳がだんだんひどくなってきた
特に次の場合は救急受診を検討してください。
・顔色・唇が青白い、または紫色(チアノーゼ)
・ぐったりして反応が鈍い、呼びかけへの反応が弱い
・息を止める瞬間がある(無呼吸)
ぜーぜーや息苦しさ、飲めない・食べられないといった症状は、細気管支炎や肺炎に進展しているサインのことがあります。低月齢の赤ちゃんは特に無呼吸にも注意が必要です。判断に迷うとき・夜間休日は、こども医療電話相談 #8000(各自治体が実施、対応時間は地域差あり)に相談できます。
RSウイルスってどんな感染症?
RSウイルスは、発熱・鼻汁などの軽い風邪のような症状から重い肺炎まで、さまざまな症状を起こすウイルスです。とてもありふれていて、厚生労働省によると生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子が少なくとも1度は感染するとされています。つまり「特別な子だけがかかる病気」ではなく、ほとんどの赤ちゃんが通る道なのですね。
ただし、初めての感染、特に生後6ヶ月以内に感染した場合は、細気管支炎や肺炎など重症化することがあるのが、このウイルスの注意点です。
なぜ0歳・低月齢が重症化しやすいの?
RSウイルスは、生後6か月以内、特に低月齢で初めて感染したときに最も重症化しやすいと報告されています(国立健康危機管理研究機構)。気道がまだ細く、炎症で少し腫れただけでも空気の通り道が狭くなりやすいことが背景にあると考えられます。
データでも、入院事例のピークは生後2〜5カ月齢にあるとされ、0歳児が特に入院に至りやすいことがわかります。また、RSウイルスは乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の50〜90%を占めるともされ、赤ちゃんの呼吸器の病気の主役級の存在です。
重くなるときの症状の流れ
軽い風邪症状から始まり、重くなる場合は次のように進みます。
・まず発熱・鼻汁などの軽い症状が数日続く
・その後、咳がひどくなる・喘鳴(ゼーゼー)・呼吸困難が出てくる
・進行すると細気管支炎・肺炎へ。細気管支炎では喘鳴に加えて陥没呼吸がみられる
さらに重篤な合併症として、無呼吸発作・急性脳症にも注意が必要とされています。特に低月齢の赤ちゃんでは、呼吸を止める「無呼吸」が起こることがあるため、注意して様子を見てあげてください。
重症化しやすいのはどんな子?
国立成育医療研究センターは、次のようなお子さんが重症化しやすいと挙げています。
・生後6か月未満の赤ちゃん
・早産・低出生体重の赤ちゃん
・先天性心疾患のあるお子さん
・慢性肺疾患のあるお子さん
・ダウン症のお子さん
・免疫不全症のお子さん
こうした背景のあるお子さんは、軽い症状でも早めにかかりつけ医に相談すると安心です。
治療と予防について
RSウイルスそのものをすぐに治す特効薬は今のところなく、症状をやわらげる対症療法が中心になるとされています。重くなった場合は、息苦しさに対する酸素投与、水分がとれないときの点滴などの入院治療が行われることがあります。乳児早期に感染して呼吸困難が強いときは、人工呼吸管理を要することもあるとされています。
予防として、RSウイルスに対するモノクローナル抗体を赤ちゃんに投与して感染や重症化を防ぐ方法もあります。従来は「RSウイルスにかかると入院が必要になるような病気をもっているお子さん」など対象が限られていましたが、近年は、より広い赤ちゃんを対象にできる新しいモノクローナル抗体や、お母さんが妊娠中に接種するワクチンといった予防の選択肢も登場しています。対象・費用・実施状況は変わるため、対象になるかや最新の方法はかかりつけ医・自治体・厚生労働省の情報で確認してください。
一般のご家庭でできる基本は、感染対策です。RSウイルスは主に接触感染と飛沫感染で広がるため、こまめな手洗い、せきエチケット、おもちゃや手すりなどよく触れる場所の清潔を心がけましょう。潜伏期間は通常2〜8日(典型的には4〜6日)。流行時期はかつて秋〜冬が中心でしたが、2021年以降は春〜初夏から増え夏にピークがみられる年もあるなど、近年は流行のしかたが変化しています(厚生労働省)。季節を問わず、上の子の風邪などからうつらないよう注意しておくと安心です。
よくある質問
Q. RSウイルスは何度もかかるのですか?
はい。一度かかっても十分な免疫がつきにくく、再びかかることがあるとされています。ただ、初回感染や低月齢のときに重くなりやすく、年齢が上がるにつれて軽い風邪程度で済むことが多くなる傾向があります。
Q. 鼻水と咳だけなら様子を見ていい?
機嫌がよく、ミルクや母乳が飲めていて、呼吸が苦しそうでなければ家庭で様子を見られることが多いです。ただし、咳がだんだんひどくなる・ゼーゼーする・飲めない・呼吸が速いといった変化が出たら受診してください。低月齢ほど早めの相談を。
Q. 検査はしてもらえますか?
検査の要否は月齢や症状、医療機関の方針によって異なります。まずは受診して、医師に判断してもらいましょう。検査の有無にかかわらず、症状に応じたケアが大切です。
Q. 上の子からうつることはありますか?
あります。年長児や大人は軽い風邪で済んでいても、赤ちゃんにうつると重くなることがあります。きょうだいが鼻風邪のときは、手洗いやタオルを分けるなどの対策が役立ちます。
Q. 予防接種(ワクチン)はありますか?
予防に関する方法は近年広がりつつありますが、対象や種類は限られます。最新の対象・方法はかかりつけ医や自治体・厚生労働省の情報で確認してください。
まとめ
・RSウイルスは2歳までにほぼ100%の子がかかるありふれた感染症だが、生後6ヶ月以内の初回感染では細気管支炎・肺炎へ重症化しやすい
・重くなるサインは咳の悪化・ゼーゼー(喘鳴)・呼吸困難。細気管支炎では陥没呼吸もみられる
・ミルク・水分が飲めないのは進展のサイン。脱水には点滴、息苦しさには酸素投与が必要になることも
・入院のピークは生後2〜5カ月齢。0歳児は特に入院に至りやすい
・重症化しやすいのは生後6か月未満・早産/低出生体重・先天性心疾患・慢性肺疾患・ダウン症・免疫不全症の子
・無呼吸発作・急性脳症という重篤な合併症もあり、低月齢では無呼吸に注意
・予防は手洗いなどの感染対策が基本。モノクローナル抗体による予防は対象が限られる
毎日の鼻水・咳・呼吸の様子や「飲めているか」を、BabyStepの発達・体調メモに残しておくと、受診のときに経過を医師へ伝えやすくなります。完璧じゃなくて大丈夫。気になるサインが出たら、迷わず受診や#8000を頼ってくださいね。
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出典・参考文献
・厚生労働省 RSウイルス感染症に関するQ&A
・国立健康危機管理研究機構(JIHS/旧国立感染症研究所) RSウイルス感染症(詳細版)
・国立成育医療研究センター RSウイルス感染症
・公益社団法人 日本小児科学会 RSウイルス感染症(一般の方向け)
監修: 小児科医 | 最終更新: 2026年6月
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。お子さま・ご自身の体調に不安がある場合は、かかりつけの医療機関にご相談ください。


