「私はそこまで暑く感じないけど、ベビーカーの中の子は汗びっしょり…」
「ちょっとの買い物くらいなら、車で待たせても平気かな?」
うちも、夏の外出のたびにヒヤヒヤしていました。でも、赤ちゃんや小さな子どもは、大人と「同じ暑さ」を感じているわけではありません。むしろ、大人が涼しいと思っている場所でも、子どもにとっては危険な高温になっていることがあります。完璧に防ごうと気負わなくて大丈夫。仕組みを知って、ポイントだけ押さえれば守れます。
結論: 乳幼児は体温調節(特に汗をかく機能)が未発達で、大人より熱がこもりやすく熱中症になりやすい体です。地面に近いぶん照り返しの熱も強く受けます。のどが渇く前のこまめな水分補給と日よけ、車内に数分でも残さないことが基本。声をかけても反応がおかしい・けいれん・体温40℃超・汗が出ないときは迷わず119番。判断に迷うときは小児救急電話相談 #8000 や医療機関に相談を。
【最重要】こんなときはすぐ119番・受診を
楽しいお出かけが、急変することもあります。次のサインが出たら、ためらわず行動してください。
すぐに119番(救急車)を
・声をかけても反応がない、おかしな返答をする、意識がはっきりしない
・けいれんを起こしている
・体温が40℃を超えている
・汗が出なくなっている
日本小児科学会(こどもの救急)では、40℃を超える体温・意識障害やけいれん・汗が出なくなるなどの症状があるときは119番通報するよう案内しています。こども家庭庁・消費者庁も、呼びかけに答えない・意識状態が悪いときは救急車を呼ぶよう促しています。
早めに医療機関を受診・相談を
・めまい・立ちくらみ・吐き気・嘔吐・顔色が悪い・体のだるさがある
・自分で上手に水分補給ができない(早めの受診・相談を)
・涼しい場所で休ませても改善しない
判断に迷うときは、小児救急電話相談 #8000 やかかりつけの医療機関に相談してください。
なぜ赤ちゃんは熱中症になりやすいの?
こども家庭庁は、乳幼児・幼児は体温調節機能が未発達で、特に汗をかく機能が未熟だと説明しています。大人と比べると、暑さを感じてから汗をかくまでに時間がかかり、体温を下げるのにも時間がかかるため、体に熱がこもりやすく体温が上昇しやすいのです。
日本小児科学会(こどもの救急)も「こどもは体温を調節する機能が大人に比べて未発達」「上手く汗をかけません」としています。さらに全身に占める水分の割合が大人より高いため、外気温の影響を受けやすいと指摘しています。
「大人の私が平気だから」が通用しない理由が、ここにあります。
地面に近いほど暑い — 子どもの「高さ」の落とし穴
見落としがちなのが、背の高さです。こども家庭庁によると、身長が低い子どもは地表面からの熱の影響を受けやすく、大人よりも高温の環境下にさらされています。
・大人の顔の高さで32℃のとき、子どもの顔の高さでは35℃程度の感覚になる
・消費者庁も、身長が低く地面からの照り返しの影響を強く受けるため、子どもは大人より高温の環境にさらされると説明しています
ベビーカーや抱っこの位置はアスファルトの照り返しを受けやすい高さです。「自分は涼しい」と感じても、子どもの高さでは別の世界、と覚えておきましょう。
車内は数分でも危険 — 「ちょっとだけ」が命に関わる
「エンジンを切って数分だけ」が、最も避けたい状況です。
消費者庁の検証では、次のことが分かっています。
・10月で最高気温が約27度の比較的過ごしやすい気候でも、日が射すと車内温度は約48度、ダッシュボードは65度を超える高温になることがある
・エアコンで車内を25度程度に設定した後にエンジンを切り、窓を閉めておくと、約1時間後の車内温度は50度以上(51.3度)に達する
実際に、子どもが車内から鍵を閉めてしまい20分間閉じ込められ、救出後の体温が39度台で多量の汗をかいていた(2歳児)という事例も報告されています。
こども家庭庁も、短時間であっても車内を子どもだけにせず、降ろし忘れにも注意するよう呼びかけています。消費者庁も、たとえ数分であっても車内に子どもを残すことは絶対にしないよう呼びかけています。車の鍵は子どもに持たせず、保護者が必ず管理しましょう。
今日からできる予防の基本
特別な道具はいりません。基本の積み重ねが一番の対策です。
水分はこまめに
・のどの渇きを感じなくても、こまめに水分補給する(こども家庭庁)
・たくさん汗をかいたときは塩分の補給も意識すると安心です
服装と日よけ
・通気性の良い涼しい服を着せる
・外出時には帽子をかぶる
環境をチェック
・気温と湿度をこまめにチェックする
・暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラートも参考にする
・こども家庭庁は、暑さ指数が28以上になると熱中症の救急搬送の発生率が増えるとの分析もあることから、厳重な警戒が必要としています
無理をしない
・暑い時間帯の外出は控えめにし、適度に休憩をはさむ
もし「あれ?」と思ったら — 応急処置の手順
危険サイン(119番が必要なサイン)に当てはまらなくても、ぐったり・顔色が悪いと感じたら、すぐ体を冷やします。
1. 涼しい場所(クーラーの効いた室内や日陰)に移す
2. 衣服を緩め、頭を低くした状態で安静に寝かせる
3. 冷たい濡れタオルで体を拭く・風を送る
4. 太い血管のあるところ(わきの下・首の周り・太ももの付け根)を冷やす
5. 飲めるようなら水分・塩分を補給する
これは各機関が示す応急処置の目安です(冷却・安静・水分補給)。ただし、呼びかけに答えない・自分で水分がとれないときは、冷やしながらすぐ救急車を呼んでください。
よくある質問
Q. 麦茶や水だけで足りますか?塩分も必要?
こども家庭庁は「のどの渇きを感じなくても、こまめに水分補給する」としています。たくさん汗をかいたときは水分だけでなく塩分の補給も意識すると安心です。月齢の小さい赤ちゃんの飲ませ方に迷うときは、健診やかかりつけ医に相談してみてください。
Q. エアコンを使うと体が冷えすぎないか心配です。
体に熱がこもりやすい乳幼児にとって、暑い室内のほうがリスクになります。設定温度や風向きを工夫しつつ、まずは涼しい環境を保つことを優先しましょう。気になるときは健診などで相談を。
Q. 暑さ指数(WBGT)はどこで確認できますか?
熱中症警戒アラートや暑さ指数は、公的機関が情報を公開しています。こども家庭庁は暑さ指数28以上で救急搬送が増えるとしており、警戒の目安になります。外出前にチェックする習慣をつけると安心です。
Q. 短時間でも車に残すのは本当にダメですか?
はい。消費者庁は「たとえ数分であっても、車内に子どもを残すことは絶対にしない」と呼びかけています。日が射せば外気27度でも車内は約48度になり得ます。買い物や用事のときは、必ず一緒に連れて行きましょう。
Q. 熱中症かどうか、家庭で見分けられますか?
めまい・吐き気・嘔吐・顔色の悪さ・だるさなどがサインです。涼しい場所で休ませても改善しない、自分で水分がとれない、反応がおかしいときは危険なサインです。判断に迷うときは #8000 や医療機関へ相談してください。
まとめ
・乳幼児は体温調節(特に発汗)が未発達で、大人より熱がこもりやすく熱中症になりやすい
・身長が低く地面に近いため照り返しを強く受け、大人の顔の高さで32℃でも子どもの高さでは35℃程度になる
・のどの渇きを感じなくてもこまめに水分補給し、汗を多くかいたときは塩分も意識を。通気性の良い服と帽子で日よけを
・気温・湿度をチェックし、暑さ指数28以上や熱中症警戒アラートを警戒の目安に
・車内は数分でも危険。外気27度でも日射で約48度、エアコンを切れば約1時間で51.3度に。絶対に残さない
・応急処置は涼しい場所で衣服を緩め、わきの下・首・太ももの付け根を冷やす
・反応がおかしい・けいれん・体温40℃超・汗が出ないときは迷わず119番。迷うときは #8000 へ
暑い日のお出かけは、その日の様子や水分のタイミングをBabyStepのメモに残しておくと、体調の変化に早く気づけたり、受診時に伝えやすくなります。「いつもより元気がない」のサインを見逃さないお守りに。
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出典・参考文献
・こども家庭庁「熱中症から子どもを守るために」
・消費者庁「子どもを車内に残さないで/子どもの熱中症に注意」
・日本小児科学会 こどもの救急(ONLINE-QQ)「熱中症」
監修: 小児科医 | 最終更新: 2026年6月
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。お子さま・ご自身の体調に不安がある場合は、かかりつけの医療機関にご相談ください。


