「何を手伝えばいいか分からなくて、結局スマホを触ってしまう…」
「うちも、よかれと思った一言で妻を怒らせてしまった。すれ違いがつらい」
産後すぐの時期は、ママの体も心も大きな変化のただ中にあり、パパも「自分の出番が分からない」と戸惑いがちです。でも大丈夫。完璧なパパである必要はありません。今日できる小さな一歩から、夫婦でこの時期を一緒に乗り越えていきましょう。
結論: 産後のママは身体的な回復と心の安定が必要な時期です。パパは「沐浴・抱っこ・授乳のサポート・家事」などできることから関わり、ママの食欲・睡眠・気分の変化に気づいて声をかけることが何よりの支えになります。産後パパ育休や出生後休業支援給付金などの制度も活用できます。ママに気分の落ち込みや強い不安が続くときは、ひとりで抱えず医療機関・自治体の母子保健窓口・こども家庭センターに相談を。赤ちゃんの様子で判断に迷うときは、こども医療電話相談 #8000 も利用できます。
【最重要】こんなサインに気づいたら相談を
産後のママは、心身の回復が必要な時期です。次のようなサインが続くときは、パパが気づいて一緒に相談につなげてあげてください。
・ママに気分の落ち込み・強い不安・不眠・食欲不振・涙が止まらない・赤ちゃんへの関心が持てないといった状態が続く → 早めに産婦人科・かかりつけ医・自治体の母子保健窓口やこども家庭センターへ
・ママが自分や赤ちゃんを傷つけたいといった考えを口にする → ためらわず、すぐに医療機関・相談窓口へ
・ママの体調で、発熱が続く・出血が多い・強い腹痛や乳房の痛み・傷の異常がある → 自己判断せず、分娩した医療機関やかかりつけ医に連絡・受診を
・赤ちゃんの様子(発熱・ぐったり・母乳やミルクを受けつけない・泣き止まないなど)で迷うとき → こども医療電話相談 #8000 や地域の相談窓口へ
こども家庭庁の産後ケア事業ガイドラインは、「母親の中には精神的不調があっても、自ら助けを求めない場合がある」と指摘しています。だからこそ、いちばん近くにいるパパが様子に気づくことが大切です。
まず知ってほしい「産後のママの体」
産後は、赤ちゃんを迎えた喜びと同時に、ママの体が出産のダメージから回復していく時期です。こども家庭庁の産後ケア事業ガイドラインでは、産後の身体的ケアとして腰痛や尿失禁などのマイナートラブルへの対応が挙げられ、骨盤底筋体操の指導や、腰に負担のかからない抱き方・授乳の姿勢・沐浴の方法などの指導が示されています。
つまり、産後のママは「ただ疲れている」のではなく、体が回復の途中。抱っこや沐浴を代わるだけでも、ママの体を守ることにつながります。
パパが今日からできる家事・育児リスト
「何をすればいい?」の答えは、思っているよりシンプルです。
・沐浴:赤ちゃんを安全に支える沐浴は、パパの得意分野になりやすい関わりです
・抱っこ・寝かしつけ:ママが休む時間をつくれます
・授乳のサポート:ミルクを作る・げっぷをさせる・授乳クッションを整える・飲み終わった後を見守る
・家事全般:食事の準備や買い物、洗濯、掃除、ゴミ出し。栄養面で回復を支えるのも立派な育児です
・上の子のお世話:きょうだいがいれば、遊びや送り迎えを引き受ける
沐浴や授乳の姿勢など一部は公式ガイドラインで触れられていますが、掃除や買い物といった家事は「気づいた人がやる」で十分。完璧でなくて大丈夫です。
ママの「心」に気づく関わり
家事や育児の手を動かすことと同じくらい大切なのが、ママの心に目を向けること。産後ケアの心理的ケアでは、支援者が食欲・疲労・睡眠がとれているか・気分・赤ちゃんへの接し方などを確認するとされています。これは、いちばん近くにいるパパにもできる観察です。
・「ちゃんと食べられてる?」「少し眠れた?」と具体的に聞く
・「ありがとう」「助かってるよ」と言葉にする
・「自分でやるから休んで」と、休む時間を実際につくる
ママが弱音を言えないこともあります。「大丈夫?」より「今日は俺がやるね」のほうが、ママの肩の力が抜けることもあります。
すれ違いを防ぐ、夫婦の話し合い
家事や育児の分担は、「察してほしい」ではすれ違いがちです。こども家庭庁のさんきゅうパパプロジェクトでは、父親が家族との時間を過ごすことを通じて「父親であることを実感し、これまでの働き方や生活を振り返り、出産後の育児や家事を考える機会」になるとしています。
・お互いの「やってほしいこと」を、責めずに言葉にして共有する
・「どっちがやる?」を、その日の体調に合わせて柔軟に決める
・できなかったことより、できたことに目を向ける
ちなみに「さんきゅうパパ」の「さんきゅう」には、パパが産休を取ることで、産んでくれた妻に、生まれてきてくれた我が子に「ありがとう」を言おう、という意味が込められているそうです。
知っておきたい制度の基本
産後の時期は、休んでそばにいることが何よりのサポート。仕事を持つパパが使える制度の骨子を押さえておきましょう。
産後パパ育休(出生時育児休業)
厚生労働省によると、産後パパ育休は子の出生後8週間以内に4週間(28日)を限度として2回に分けて取得できる休業で、1歳までの育児休業とは別に取得できます。対象は産後休業をしていない労働者(日々雇用を除く)です。
・申出は原則として休業開始予定日の2週間前まで(労使協定を締結している場合は最大1か月前まで)
・期限があるので、妊娠中から早めに勤務先へ相談しておくと安心です
・取得中は休業開始時賃金日額の67%相当額の出生時育児休業給付金が受けられます
出生後休業支援給付金(2025年4月創設)
両親ともに子の出生直後の一定期間に14日以上の育児休業を取得すると、最大28日間、休業開始時賃金日額の13%が上乗せ支給されます。出生時育児休業給付金などの67%と合わせて給付率80%となり、育児休業中の社会保険料免除・給付の非課税により手取り10割相当となります(ただし賃金日額には上限があります)。なお、ひとり親家庭や、配偶者が自営業・専業主婦(夫)などで育児休業を取得できない場合は、本人のみの取得でも対象となることがあります。
制度の細かな要件(休業中の就業の可否、労使協定の有無、給付の上限額など)は事業所や年度で異なります。最新の金額・要件は厚生労働省・ハローワーク・勤務先に確認してください。
公的サポート「産後ケア事業」
「家族だけでは大変…」というときは、自治体の産後ケア事業も心強い味方です。こども家庭庁によると、これは出産後1年以内のママと赤ちゃんを対象に、心身のケアや育児のサポートを行う事業です。
・短期入所(ショートステイ)型・通所(デイサービス)型・居宅訪問(アウトリーチ)型の3形態があります
・短期入所型では、市町村の判断により父親・パートナーやきょうだいが同伴できる場合があります
・対象・利用料・同伴の可否・利用日数は自治体ごとに運用が異なるため、お住まいの市町村窓口で確認を
よくある質問
Q. 育休を取りたいけれど、職場に言い出しづらいです。
産後パパ育休には申出期限(原則2週間前、労使協定があれば最大1か月前)があるため、妊娠中から早めに相談するのがおすすめです。制度上の権利なので、まずは勤務先の担当部署やハローワークに具体的な手続きを確認してみてください。
Q. 何を手伝っても妻に不満そうにされてしまいます。
「察してやる」よりも、「これとこれ、どっちをやろうか?」と聞いて一緒に決めると、すれ違いが減りやすいです。できなかった点を指摘し合うより、できたことを認め合う関わりを意識してみてください。
Q. 妻の元気がない気がします。様子を見ていて大丈夫?
産後は心の不調が起こりうる時期です。気分の落ち込みや不眠、食欲不振、涙が止まらないなどが続くときは、様子見にせず早めに産婦人科・かかりつけ医・自治体の母子保健窓口やこども家庭センターへ。ママが自分から助けを求めにくいこともあるので、パパからの声かけが大切です。
Q. パパ自身もつらくなってきました。
睡眠不足や孤立感は、パパにも起こります。家族だけで抱え込まず、産後ケア事業や自治体の産前・産後サポート事業など公的支援を市町村窓口に相談してみてください。
Q. 給付金は必ずもらえますか?
給付には就労状況や賃金の支払状況などの要件があり、不支給となる場合もあります。金額や率も改定されるため、最新の情報は厚生労働省・ハローワーク・勤務先で確認してください。
まとめ
・産後のママは身体的な回復と心の安定が必要な時期。抱っこや沐浴を代わるだけでも体を守れる
・パパができることは沐浴・抱っこ・授乳のサポート・家事・上の子のお世話など。完璧でなくて大丈夫
・ママの食欲・睡眠・気分に気づき、「ありがとう」「休んでいいよ」と言葉と行動で伝える
・分担は察してもらうより話し合って決める。できたことに目を向ける
・産後パパ育休は出生後8週間以内に28日まで・2回分割可・申出は原則2週間前。早めに勤務先へ相談を
・出生後休業支援給付金で両親14日以上の育休なら最大28日間・手取り約10割相当(要件・上限あり、最新は厚労省・ハローワークへ)
・産後ケア事業は出産後1年以内が対象・3形態あり・父親同伴可の場合も。お住まいの自治体窓口で確認を
産後パパ育休や産後ケアなど、わが家で使える制度はBabyStepの「制度マッチング」で地域に合わせて確認できます。気になる手当や支援を、夫婦で一緒にチェックしてみてください。
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出典・参考文献
・厚生労働省 育児休業制度特設サイト「産後パパ育休」
・厚生労働省「出生後休業支援給付金」リーフレット
・こども家庭庁「さんきゅうパパプロジェクト」
・こども家庭庁 健やか親子21「産後ケア事業」
・こども家庭庁「産後ケア事業ガイドライン(令和7年3月)」
・内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書(平成28年版)」コラム2 さんきゅうパパプロジェクト
監修: 社会福祉士 | 最終更新: 2026年6月
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。お子さま・ご自身の体調に不安がある場合は、かかりつけの医療機関にご相談ください。


